第80章 進展
「あ、の、あ、の」
「ぶは、壊れたロボットみたいっスね」
スタッカートがきいた発声になってしまってて、壊れたロボットみたいというのは、本当に的確な表現だと感心してしまう。
いやいや、感心してる場合じゃないよ。
上手く言わなきゃ、上手く。
「わ、私だって、そういう時、あるます」
「……そういう時って、どういう時スか?」
うう、察して欲しい。
恥ずかしすぎて溶けそう。
「あう、あの、涼太と、したくなる時、ます」
ああもう本当に恥ずかしい。
口に出すの苦手、苦手だ。
「……何をしたくなるんスか?」
あっ、これ、負のループだ。
気が付いた時には手遅れ。
涼太は笑いを堪えながら、からかうように聞いてくる。
ううん、からかってるんだ。
恥ずかしがるから余計に恥ずかしくなるのかもしれないけれど、でもとにかく恥ずかしいんだもの。
真っ直ぐ見つめられて問われると、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまう。
「ね、何を?」
「……涼太、との……エッチ」
一瞬、しんと静まり返った。
こういう時はいっその事、笑われた方が気が楽だっていうことを思い知った。
「……へー、じゃ、今は?」
う、な、何、その溜め!
試されているような瞳に覗き込まれて、息の根を止められそうになってしまう。
付き合って、何年だっけ?
そんなの、関係ない。
いつだって、このひとにはドキドキさせられっぱなしだ。
「う、今、だって……したい、よ」
だめだ。死にそう。
恥ずかしいとかいうレベルじゃない。
頭の上をぴよぴよとひよこが飛んでいるのかと思うほど、自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた。
だって、本当なんだもん。
はしたないって、女の子なのに下品って思われるかもしれないけれど、素直な気持ち……だもん。
「……あ、あの、涼太」
「みわ、かーわいい。やる気メチャクチャ出たっスわ」
「へ」