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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


「……距離?」

「そ。距離。……オレたち今、何かと距離があるっスよね」

「えっと……住んでいる所が遠かったり、お互いに忙しくて?」

涼太はこくりと頷いて、私のすぐ隣に移動してきた。

「それに、みわはこういう祝い方とか、好きじゃないのも知ってるっスけど……オレはやっぱり、大切なヒトのめでたい日は盛大に祝いたい」

盛大……そう、本当にいつも、盛大にお祝いして貰っちゃって、申し訳なさしかない。

「でもそうすることで、オレのコト遠い存在とか思わないかなって、時々心配になるんスよ」

……あれ……?

「……こう言うと怒るかも……あの、基本的に、涼太は遠い存在だなぁなんて思ったり……してるんだけど……」

「へ!?」

涼太が驚いて上半身を垂直に起こした途端、ぱしゃりと跳ねた水滴とともに、花びらが彼の頬に張りついた。

「みわ、マジで言ってる?」

「え……うん」

……私、そんなに変な事、言った?
だって、涼太はスーパースターだもの。
なんていうか上手く説明出来ないけれど、他に代わりがいない人間だ。
私みたいに、誰でも代わりがきくような人間ではない。

そういう面では、やっぱり遠い存在だと思っているんだけれど……やっぱり上手く言えそうにない。

「みわは、オレの恋人なのに?」

「こい、びと」

……改めて口にすると、すごい単語だ。
私が、涼太の、恋人……

「ちょっと、そこで黙んないでくんないっスか! こんなにラブラブなのに!」

「ご、ごめんなさい、ちょっと恥ずかしくてこの流れに耐えられそうにないです」

「何! なんで!? もう付き合って何年経ってると思ってんスか!」

何年……って……高校1年生の時に出逢って、今大学2年生だから……わ、すごい。

「分かった。みわとはだいぶ認識が違うってことがよっく分かったっスわ」

涼太は、がしがしと髪を乱した。
彼の表情とは裏腹に、髪から撥ねた水滴が楽しそうにきらきらと輝いた。


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