• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第27章 海常祭


「……ここ……あれ……?」

どうやら黄瀬くんの息抜き場所の内の1つらしい。

通った事のない道をスイスイ抜けていくと、見知った建物が目に入って来た。

「ちょうどバスケ専用体育館の真裏っスよ、知らなかったっスか? ここ、人来ないし屋根もあってで快適なんスよね」

私も入学当初この付近をウロウロしたけど、ここまでは来なかったな。

屋根や木々のおかげで日陰になっているからか、随分涼しく感じる。

「あ、みわっち制服汚れちゃうっスかね? コンクリートだから痛いかも」

「ううん、それは大丈夫。ちょっとのんびりしようか」

少し段差になっている所に、2人で並んで座った。

ジリジリと眼前のアスファルトを焦がし続ける陽射しに目を細め、唸り続ける虫の声に耳を傾けていると、唐突に眠気が襲ってきた。

2人とも満腹だからか、睡魔と戦い身体がゆらゆらと左右に揺れる。

先に陥落したのは黄瀬くんだった。
頭がわたしの肩にもたれかかってきた。

柔らかい髪とともにふんわりした香りが心臓を跳ねさせる。

……この体勢、首痛くならないかな。
そっと黄瀬くんの頭を、自分の膝に誘導した。

膝枕。
ちょっと恥ずかしいけど、もう寝てるし大丈夫だよね。

黄瀬くんの髪を優しく撫でていると、私にも抗えない睡魔がやってきた。

私も、少し眠……





なんとなく人の気配がして、目が覚める。
気配がする方向を見ると……

桐皇の桃井さんに青峰さん、誠凛の黒子くんに火神さんがそこには居た。

普段想像のつかないメンツに、驚いて何も言うことが出来ない。

皆、お好み焼きやらたこ焼きやら焼きそばやらを手にしている。

3年生の先輩にも会ったのかな。
火神さんが凄い量を持ってるけど……。

「あ、起きた! みわちゃん、来ちゃった」

桃井さんが可愛らしい笑顔で手を振る。

「ごめんね、桃井さんメールくれてた? 気付かなくて……」

「さつきでいいってばー。返事ないからここら辺でお昼寝でもしてないかなって思ったんだ」

「桃井さん、流石ですね」

「大ちゃん、テツ君に褒められた!」

「へーへー、よかったな」

「青峰、これうめーぞ!」

「オメーはさっきから食い過ぎなんだよ!」

途端に場が騒がしくなる。
膝の上の黄瀬くんはまだ目を覚まさない。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp