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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第27章 海常祭


立ちっぱなしで疲れて空腹を感じている身体に、ソースの香りが乱暴に襲ってくる。

それぞれ1つずつ注文した。

「ほーら、可愛い後輩たちにサービスだ!」

森山センパイと小堀センパイが、大盛りの食べ物たちをオレたちの前に置いてくれた。

小堀センパイはなぜか凄くエプロン姿が似合っていて、まるでお母さんみたいだ。

「いいんスかこんなに!」

「ああ食え食え! 食わねーと元気出ねえぞ!」

「いただきまーす!」

みわっちと声を揃えた。

「ホレ、おごり」

目の前に缶が2本置かれた。
顔を上げると、エプロン姿の笠松センパイが嬉しそうに笑いかけてくれている。

男前なセンパイがエプロンをつけているというギャップに、迂闊にも少し萌えてしまった。

「いいんスか?」

「いいんですか、ありがとうございます!」

プシュ、という小気味よい音と共に、お茶の香り。
渇いた喉にはありがたい。
そして、ソース味がまた美味しくて。

「どうだ、うめえだろ」

「はい! 美味しいです!」

「センパイ達は校内回れるんスか?」

「ああ、もうすぐ交代だからな。午後は3人でブラブラ回るわ」

「2年のヤツらは何やってるんだっけな」

「ん〜、中村のとこがアイス……で早川んとこがわたあめってくらいしか知らないなあ」

「わたあめって可愛いっスね!」

「お前ら2人で回ってんの?」

「そうっスよ。いい感じの恋人同士に見えてるっスか?」

「遠巻きに見てる女性達の顔が怖いけど、いい感じなんじゃないの」

小堀センパイがそういうんだから、多分凄い形相で睨まれているのだろう。

「じゃ、俺たち行くわ。仲良くな」

「ご馳走さまです!」




「……先輩方、優しいね」

「ホントっスね。可愛がって貰ってる。オレもっと、がんばらねーと」



「……それにしても、おなかいっぱい……」

「そっスね……どっかゆっくり出来るとこあるかな」

センパイたちの大サービスのおかげで、とても2年生の所まで回れるほど胃の許容量に空きはなかった。

「ちょっと食休みしてからまた回りたいね」

ゆっくり出来るところ……普段自分が1人になるために探し抜いた秘密の場所から、どこかを厳選してみようか。

「みわっち、静かなトコ、オレ知ってるっスよ」

彼女の手を取って、校舎裏に向かう。



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