第80章 進展
持っている物、着ている服。
見た目には本当に無頓着だったけれど、少しずつ勉強していかなくちゃ……とはずっと思ってて。
それなりに頑張ってるとは思ってたけど、それなりじゃ、ダメなんだ。
社会に出て仕事をするようになったら、きっともっと気をつけなきゃいけない事も沢山あるはず。
涼太の隣に居たいなら……もっとやるべき事がいっぱいあるはずだ。
私はいつも涼太に頼りきりだから……。
……ううん、違う。
涼太にもいっぱい、教えてもらおう。
その代わり、私が得意なことは、涼太に伝えて。
頼って、頼られて。
なんだか……不思議とこころがあったかい。
「ありがとう、本当に。お金ばっかり使わせちゃって、ごめんなさい」
プレゼント、嬉しい……。
選んでいる時、私の事を考えながら買ってくれたのかな。
どんな風に決めたんだろう。
涼太は店員さんに話しかけられる事が多いから、話し合いながら決めたんだろうか。
嬉しい。
贈り物って、なんて特別なんだろう。
そのひとのお金と時間と気持ちを、その瞬間は独り占めしちゃうんだもん。
嬉しい。
嬉しい。
「はー、日が変わる前に渡したかっただけだから、もう満足っスわ。ちょっと寝る?」
「あ、あっさりしてる……!」
私は嬉しすぎて泣きそうになってるのに、涼太はもう終わった事かのようにあっさりすっきりしてる。
「んー? オレはその顔見れただけでじゅーぶん」
「かお……」
また、口元がゆるゆるに緩んでいるのに気が付いた。
「……う……」
「みわが喜んでる顔見たかっただけだから、もういいんスよ」
涼太は満足げにそう言うと、ゴロリと私の隣に横になった。
「涼太……ずいぶん酔ってたけれど、大丈夫?」
「うん、けっこー抜けたっスわ。ちょっと寝たら、風呂入ろっか」
「うん……」
こんな短時間で抜けはしないと思うけれど……確かに、語尾は先ほどまでほど怪しくない。
頂いたプレゼントをそっとベッドの横に置いて、再び枕に頭を沈ませると……抗えない眠気が集中攻撃を仕掛けて来た。