第80章 進展
「あとね、これ」
「ふぁっ!?」
涼太の手から渡されたまさかの追加のプレゼントに、変な声が出た。
今度は、可愛らしい袋のラッピング。
30センチもない、縦長の袋。
「涼太! 今プレゼントを頂いたばかりですけれども!」
「うん、だからこれもプレゼント」
「待って、これからプレゼントは1お祝いにつき1つにして貰ってもいいですか!?」
もう、本当に貰い過ぎ!!
1つだけにしてもらうように、約束しなきゃ!
「いいんスよ、そんなキレイなモンじゃないんス」
「え?」
突然涼太が見せた表情は、さっきまでのものとは全く違っていて……うまく表現が出来ないけれど、どこか自嘲めいてるというか。
「色々さ、オレの企みが詰まったプレゼントだから。いいんスよ」
「……?」
企み?
プレゼントに?
涼太の言っている意味が全く分からなくて。
いくら考えても分かりそうにないから、とにかく開けてみよう。
「えっと……開けて、いい?」
「大したモンじゃないっスよ」
ドキドキしながら袋から取り出した……これは、ペンケースだ。
私が大好きな、海常ブルーとホワイトのストライプ。
「わ、ペンケース……すっごく綺麗な色」
柔らかい素材のそれは、非常にシンプルなつくり。
滑りの良いファスナーを開けると、新品って感じの香りがした。
……これに、何の企みが込められていると言うんだろう?
「嬉しい……ありがとう。大切に使うね」
「みわのペンケース、穴開いてるからずっと気になってたんスよね」
「うっ」
高校生の頃に買った雑貨屋さんのペンポーチ、薄い布製のものだったから、ペン先等に刺激されて横の部分が裂けてしまっていたの。
まだ使えるし、買い替えるのも勿体無いからと安全ピンで留めていたんだけれど……気付かれていたなんて。