第80章 進展
「涼太っ、酔いすぎだよ! ちょっと、ちょっと落ち着いた方がいいよ、水飲んで、水」
今更ながら気が付いたけれど、涼太の目の縁はぼんやり赤く、いつもキラキラの瞳も、どこか眠そうだ。
「酔ってないってば」
ほんのり語尾も呂律が怪しい。
黒髪から覗く流し目……なんで男のひとなのにこんなに色っぽいんだろう。
でも……やっぱり酔いすぎ!
「さっきからの言動といい、泥酔確定です!」
「でいすい?」
「泥酔。泥に酔うって書く泥酔」
「どろよい?」
「う、あの、泥なんだけどそうじゃなくてね」
脳内の辞書までエラーを起こしてしまっているようだ。
水を取りに行こうとしたけれど、涼太の手は解放してくれない。
酔ってるのか正気なのか、はっきり分からないのが正直なところ。
「……どろどろになったみわに酔うってこと? 大歓迎っスわ」
「ほ?」
ホックが外されて緩んだブラジャーに、少しだけずり下げられたショーツをまじまじと見つめて、涼太はまた嬉しそうに微笑んだ。
「さっきはじっくり見れなかったっスけど、この下着カワイイっスね。真っ白にレース付きってのがまたエロくて」
「う、う」
確かに、今日のデートに合わせて新調した下着だけれど、そうやって凝視されると恥ずかしい以外の言葉がない。
「チラチラとエロい所が見え隠れしてんのが堪んないんスよね、チラリズムっていうんスかね」
「ねえ、ねえ本当にもう言わないで」
両手は涼太にしっかりと捕まって、ずっと頭の上で固定されてる。
無防備な腋の下まで彼に曝して、恥ずかしいとしか形容出来ない。
「でも……ほら、垂れて来てるっスよ」
「あっ」
入り口をからかうようにくるくると刺激されると、ピクリと腰が浮く。
ぬるりとした感触から分かる……身体は勝手に涼太を受け入れる準備を整えているんだろう。
恥ずかしい事を言われているのに、言わないで欲しいのに、やめて欲しいのに、身体はどんどんと熱くなるばかり。