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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


「みわの笑ったカオ、見てると元気になるっスね」

「え……そ、そう?」

そんな事、言われた事もない。
緩んだ頬が急に恥ずかしくなって、慌てて手のひらで覆った。

「なんで隠すんスか、もっと見せて」

「……なんか恥ずかしいから、だめ」

正面からにょっきりと伸びてくる筋肉質な手を、なんとか避ける。

「避けないで欲しいんスけど!」

「本当に今はだめ!」

右に、左にと攻防戦は続く。

「隠さないでってば」

「だ、だめだってば!」

追いかけて来た腕がスッと引いて、諦めてくれたのかな、とホッとしたのも束の間……
突然席を立った涼太に腕ごと掴まれた。

「あっ、それはずる……」

ずるいよ、そう言おうとしたのに、次の瞬間には身体は浮き上がって、次に背中に感じたのは背もたれの感触ではなく、柔らかいお布団。

逞しい腕に捕まって、あっという間にベッドに押し倒された事に気が付いた。

「りょう……」

最後の一文字は、文字通り呑み込まれた。
重なって来たのは、熱い唇。

「ん、ん」

探るような、からかうようなキスじゃない。
いきなり一番奥まで侵食するような、深い深い……

「んぅ、ん」

……お酒の香りの、キス。
目の前を黒い毛先がゆらゆら揺れる。

「……ふ、ぅ……」

顔が熱い。
頭が熱い。
……身体が、熱い。

ずしりと彼の重みを感じている腰から下が、ジンジンと痺れているみたいだ。
震える腰が、感じてしまっている事を何より証明している。

無理だよ、こんなキス。
身体の芯まで刻み込まれる、涼太の存在感。

「りょお、た」

息継ぎの合間に漏らした名は、彼に届く前に溶けて消えてしまったのではないかと思うほど頼りなくて。

まるで抱かれているみたいに、全身を快感が支配していく。

「……みわ」

はぁ、と濡れた吐息と共に紡がれた名は、耳から入って全身に回っていって……理性なんか軽く吹き飛んでしまいそう。




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