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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


また暫くの沈黙。
涼太はさっきから、ちょっと変だ。

彼と過ごしている時の沈黙は気まずいものではないんだけれど……今は何か言わないといけないかもしれない。

「あの、折角だから……頂いても、いいかな」

何本かあるボトルから、海常ブルーのものを手に取ると……スパークリング、って書いてある。

「涼太も、これでいい?」

「……気まで遣わせていいトコナシっスわ……」

「ふふ、何言ってるの」

蓋を回し開けると、辺りを漂うお酒の香り。
これは……さっき色々飲んだ中にはなかった。

涼太のグラスに注ぐと、しゅわしゅわしゅわと小さな泡が弾ける透明な液体が。

「これ……ワイン?」

「これはね、日本酒っスよ。スパークリング日本酒。最近、女のヒトに人気なんだって」

「そんなのもあるんだ……すごい」

申し訳なさそうに眉を下げる涼太と再度の乾杯をしてから口に含むと、優しい甘味が口の中に広がった。

「わ、飲みやすいね」

「んまいっス」

お酒なんだけど、爽やかで喉越しが良くて……ついつい飲みすぎてしまいそうだ。

スパークリング日本酒を飲んで、チーズをつまんで、暫くして赤ワインを開けて。

……ふたりして飲み過ぎ?
それほどグビグビ飲んでるわけじゃないけど、涼太の頬はまた赤く染まっている。

お話をしながら美味しい物を食べて飲んで、が楽しくて。

楽しいな……。

「幸せ……」

透明なピンクのピックに刺さったオリーブをひとくちつまんで、またお酒をひとくち飲んで。

ちょうど2人分くらいのホールケーキは、チョコレートでコーティングされていて。

アルファベットの可愛らしい文字で私の名前と、"Happy Birthday"と書かれている。

準備にどれほどの時間と手間がかかったんだろう……。

こんな風にお祝いして貰えるなんて、本当に幸せだ……。


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