• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


待って……テーブルの上は完全にパーティー仕様。

「あ、ハラいっぱいっスか?」

「ううん、そうじゃない……んだけど……」

さっき、豪華なレストランで豪華なディナーをたっくさん頂いたよね?

贅沢すぎるデザートまで、いっぱいいっぱい食べたよね?

「きっ、黄瀬涼太さん!」

「ん? なんスか?」

「あの、あの、ちゃんとお話しておかねばならぬ事がございます!」

「あんまり金使うなーってヤツっスか? いいじゃないスか、年に一度の誕生日」

「う」

まだ質問すらしていないのに、回答まで受け取ってしまってぐうの音も出ない。
年に一度って言うけど、一度じゃない! 一度なんてもんじゃないもの!

だって、去年のクリスマスは一体どうだった?
プレゼントまで貰った上に、宿泊は客室露天風呂付きのお部屋で、豪華な食事付きで、客室露天風呂付のお部屋で、客室露天風呂……露天、風呂で……

「みわ、顔赤いっスよ」

「わっ、な、なんでもないです!」

「なんでもないんなら、いいんスけど」

くつくつと笑う姿は、全部お見通しみたいで。

「ねえ、本当に、涼太」

「あのね、みわ。オレはね、自分が使いたいと思ったものにしか、金は使わない主義なんスよ」

「う、うん……」

ゆっくりと椅子に腰かけた涼太が、今までの雰囲気とは違ってあまりに穏やかに話し出すから、思わず言葉を呑んだ。

涼太はおしゃれだし、一見物を沢山持っているように見えて、確かに彼の部屋は予想よりも物が少ない。

物にあまり執着がない、と以前聞いた。
きっと、それが大きな理由なんだろう。

「普段はそんなに使う事ないんスけど、その代わり、大事だと思った事には惜しみなく使う。今までもこれからもそれは変わらないから、覚えておいてくんないっスか」

涼太の主義を否定したいわけじゃないの。
それは本当に彼の自由だし、だとするとこれ以上何も言える事がなくって……。

「……はい」

「家計が一緒になってから揉めるよりは先に言っとこうと思って」

……ん?


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp