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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


涼太とお揃いの腕時計に目をやると、時間はまだ19時を過ぎたところだった。
夕食時よりも早めにお店に入ったから、時間には余裕がありそうだ。

まだ、今日はずっと一緒に居られる……。
嬉しくて嬉しくて、私、浮かれてるんだと思う。

食べるものも全部美味しくて、お喋りは楽しくて、なんて最高な時間なんだろう。

こんな贅沢すぎるご褒美貰ってしまって、帰りに車にでも轢かれそう……。

あれだけあったスイーツも、涼太の言う通りにぺろりとたいらげてしまって。
甘いものは別腹、って本当だったんだ。

まだ食べるかと問われて、流石にそれは辞退して、食後に温かいコーヒーを淹れて貰って、またお喋りの時間。

話題が全く尽きない。
涼太といると、不思議なんだ。
いつも、学校だとひとに話しかけるのすら緊張して、声が上ずって……。

きっとこれも涼太の魅力。
涼太とお話していると、彼の社交性を少し分けて貰えるのかな。
一緒に居る時限定なんだけれども。

「みわ、も少ししたら出よっか。トイレ大丈夫っスか?」

「あ、う、うん、大丈夫」

この間は、お手洗いに行っている間にお会計が済んでしまっていた。
今日は、ちゃんと一緒に行って、金額を確認して払わなきゃ。

「んじゃオレちょっと行って来るっスわ」

「うん、行ってらっしゃい」

涼太が席を立つと、途端に寒々しく感じるのはなんでだろう。
彼の存在感がそうさせてるんだろうか。

そっと振り返ると、丁度振り返った涼太と目が合った。
にっこり笑って小さく手を振った彼は、足音も立てずに部屋を出て行った。

目下の夜景は、相変わらずきらきらと輝いている。
この光の中には人間がいて、その人間の数だけ人生があって、出逢いがあって。

どれだけの確率だったんだろう。
私がこのひとと出逢えたことは、どれだけのキセキだったんだろう。

あんな過去を優しく受け止めて、丸ごと愛してくれるひとに出逢えたことが、未だ信じられなくて……また少し、手が震えた。


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