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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


そんな考えごとをしながらぼんやり夜景を眺めていると、隣にあったかい気配。

「お待たせ、みわ」

「あ……おかえりなさい」

この、囁くというよりも、言葉をそこにそっと置いて行くような喋り方もやっぱり好きだ。

皆と居る時とは全く違うテンション。
凄く、特別な感じがして……。
私の人生の中でこんなにドキドキする事、彼に会うまで無かった気がする。

「もう出ても大丈夫っスか?」

「うん!」

涼太は王子様のように私の手を取り、出口へと向かって歩き出した。

すれ違う店員さんにご馳走様のご挨拶をしながら……

「……あれ?」

優しく手を引かれたまま、再度足を踏み出したのはもう店外で。

あれ……レジ? あった、っけ?
お会計、は?

「ちょっと行きたい場所があるんスけど、いいっスか?」

「あの、待って涼太。まだお金払ってないよ」

「大丈夫っスよ」

「え、え?」

無銭飲食?
……なわけないよね?
え?

「あの、大丈夫じゃない、よね?」

そこまで言って、気が付いた。
さっき、私はトイレに行かなかったけれど、涼太は……行ったよね?

……もしかして、その時にお会計……

「涼太」

「みわ、誕生日くらいそーゆーコト言わないの」

つん、とおでこをつつかれて……誤魔化されてる場合じゃない。

「あの、誕生日だけじゃないよ、いつもだもん」

「美味しかったっスか?」

「え、うん、すっごく美味しかった」

「お酒も?」

「うん、飲みやすいのばかりでちょっと飲み過ぎちゃったかも」

「楽しかったっスか?」

「うん、とっても」

「それなら良かったっスわ。オレもすっごく楽しかったし」

「うん、うん……うん?」

何かを考える猶予もないまま、涼太が投げかける質問にぽんぽんと答えて居ると、彼は満足げに微笑んだのだけれど……は、はぐらかされた!?

結局、全く取り合ってはくれなくて。

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