• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


「みわが……他のオトコにメシ作ってんのかと思うとなんか……」

「つ、作ってないってば!」

涼太が気にするポイントがいまいち分かってない。
……やきもちを妬いちゃう、ってこと?

「いや、分かってんスよ、もしそうでもオレにどうこう言う権利なんかないって」

「権利とかじゃ……ないのに」

「みわは、優しいっスね」

フッと零した笑みは、いつものような優しく柔らかいものじゃなくて、儚くて、ぽきりと折れてしまいそうな繊細さ。

……これだ、時折顔を覗かせる、彼の孤独。
踏み込んでいいのか退くべきなのか、測りかねてる感じ。

「本当だよ……権利とかじゃないもん。涼太になら何聞かれても、何言われても困らないもん……」

あれ……私も……酔ってるのかな。
目の辺りがあったかくて、ちょっとぽやんとしてるかも。

涼太は少し驚いたような表情を浮かべて、また髪をくしゃりとした。

なんだろう……悩んでいるのは分かるけれど……なんかこう、ギュッてしたくなる、さっきからなんだろうこの気持ち。

「……それ、本当の髪、みたいだね」

説明出来ない感情が気持ち悪くて、なんとか少しだけ話題を逸らせたくて、目についた事を話題にしたんだけれど……ちょっと、これは自爆だろうか。

「わざと触れないようにしてんのかと思ったっスわ。似合わない?」

やっぱり黒髪涼太はいつも以上に直視出来なくて、敢えて話題にするのを避けていたのに……

「あの、ううん、自然すぎて、自然すぎて不自然」

「ぷ、なんスかそれ」

「うう、もう自分でも何言ってるのかちょっとよく分からないの……」

カウンター席で良かったかもしれない。
あの真っ直ぐな瞳に見つめられると、訳が分からなくなっちゃうから。

「……オレの方が余裕ねーっスね……カッコわる」

「え?」

目の前を流れている光が突然途切れて、唇に柔らかいものが触れた。

視界に入って来た柔らかい毛先が、いたずらな黒猫のしっぽのように、ふわんと舞った。

/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp