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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


涼太って、双子の兄弟とか居たっけ?
それくらい、ベンチに座っている彼は涼太そっくりで。
長い足、身長は分からないけれど、背は高いのかな。

……いやいや、現実逃避してしまったけれど、今聞こえた声は涼太そのもの。

でも、目の前の彼は、黒髪で、黒縁眼鏡をかけていて……でも、涼太で。

「……あの、涼太?」

「うん、なんスか?」

受け答えも、いつもの涼太だ。
うん、だって涼太なんだもん。
でも、涼太じゃないんだもん。

「あの、何、どうしたの髪、メガネ、も、え、涼太、ですよね?」

「ぷっ、敬語になってるっスよ。どう見てもオレでしょ」

「いや、どう見ても涼太なんだけれど、涼太じゃないから」

涼太は髪を長い人差し指でクルクルと巻きながら、少年のような微笑みでウインクをした。

「これはウィッグ。今日、少しだけ撮影があってさ、仲良しさんから借りてきたんスよ」

「そ、そう……なんだ」

なんでだろう、涼太と分かっても直視出来ない。
なんか、理由は全然分からないんだけれど、いつもと違う種類の色気が半端無くって……。

「人ごみん中行くし、ちょっとマシかなと思って」

「あ……」

その発言で、浮かれている自分を恥じた。
涼太ほどの有名人がこんな繁華街に来るなんて、大変な事だもの。

ちゃんと、涼太は考えてくれてたんだ。
それなのに、不謹慎な事ばっかり考えて……。

「おまけに、ちょっと新鮮で良くないっスか? ドキドキした?」

いたずらっこの瞳に覗き込まれて、うっかり息が止まるかと思った。

もう、普段からドキドキさせられっぱなしなのに、新鮮味とか追加されたら倒れちゃうんだけれど……。

答えられずにいると、ぐいと手を引っ張られて、バランスを崩した拍子に涼太の膝の上に座るかたちになってしまった。

「あっ、ごめ……」

突然重ねられた唇はとっても熱くて、次第にぼんやりとしてきた頭で、視界に映るいつもと違う髪の色を見つめていた。




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