第80章 進展
通話を終えると、ひとりでに膝が折れ、床に尻餅をついた。
「調査、会社……」
遂に、一歩を踏み出した、そんな気がした。
まだ具体的なお話もなんにもしていないのに、心臓がドキドキして、手のひらにはじっとりと汗をかいている。
調べると決めていたのに、なんでこんなに動揺してるんだろう。
まだ、覚悟が出来ていなかったのかな。
しっかりしなきゃ。
涼太にも赤司さんにも、面倒をかけてばかりだ……。
そんなに心配をかけてたなんて。
申し訳ないって気持ちは勿論あるんだけれど……でも、今までとは比べ物にならないくらいの進展。
ずっと会いたかったお父さんに会える日が、近づいた。
お父さんに会えたら、お母さんにも会いに行くんだ。
本当なら、仕事に就いてから……一人前になってからというのが一番良いと思うけれど、どうだろう?
……って、待って、考えすぎ!
まだ、まだ!
まだ始まってもいないんだよ、落ち着いて!
まずは明日の涼太とのデート……うう、眠れるかな。眠れるかな。
目の下にくっきりクマを彫り込んでしまわぬよう、ささっとお布団に潜り込んだ。
……それでもやっぱり考えてしまって。
お父さんに会ったら、何から話そう。
私が話すよりも、お父さんの話を聞いてみたいな……。
ああだめ、だめ!
気持ちを切り替えるために白湯を入れて来て、ストレッチをした後に一息ついてまたお布団に入った。
だめだよ、今日は夜まで長い1日になるんだから……夜まで……涼太、1泊出来る準備しておいてね、って言ってた……どこに泊まるのかな。
涼太のお部屋かな。夜……お泊まりって事は、つまり……夜……つまり……
あー!!
だめ!
考えちゃだめー!!