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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


涼太かな?
明日の事かな?

メッセージかと思ったら、振動はおさまらない。
まさかの着信に、急いでシートパックを捨ててスマートフォンを手に取った。
画面には、予想通りの大好きな名前。

「もしもち!」

盛大に噛んだ。
慌て過ぎた……。

でも、凄い勢いで言ったから、もしかしたら涼太は聞き流してくれたかもしれない。

……スピーカーの向こうでは、笑いを押し殺している気配がする。

『……みわ、……お誕生日、おめでと……』

「も、もういっそのこと笑って! お願い!」

結局、あっはっはと大きな声で笑われて。
0時丁度にかけてきてくれたんだと気が付いたのは、暫く経ってからだった。
ハタチ、今までと何にも変わりそうにないです……。

「あー……みわと話してるとホント楽しいっスわ。今日、会えんの楽しみにしてるっスね」

「う、うん、私も!」

いつも、涼太が私の喜ぶ言葉ばかりくれるから。
私も私もと返す事しか出来なくて。

これからは、ちゃんと気持ちを伝えられるようになりたいな。

誕生日、一番最初に大切なひとの声が聞けて、なんて贅沢なんだろう。
明日はまた朝から学校にバイトに……彼に会う時に疲れた顔をしないように、今日はもう寝よう。

準備を終えて布団に入り、枕元にスマートフォンを置いた途端……それは再び振動した。

画面に表示された名前は……。

「も、もし、もし。神崎です。赤司さん……ですか?」

『こんばんは。夜分遅くにすまないな』

珍しい、何か急ぎの用かな。

「いえ、起きていたので大丈夫です。何か、ありましたか……?」

『突然の連絡だったから驚かせてしまったようだね。お誕生日おめでとう』

へ……

『……緑間と同じ、7月7日が誕生日だったと記憶していたんだけれども』

「あっ、そっ、そうです間違いないです! すみません驚いてしまって……!」

惚けている場合じゃなかった。
何度も電話越しに頭を下げた。


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