第80章 進展
結局、散々頭を悩ませて、選んだのは前述したピンクのワンピースにキラキラした素材のパンプス。
ワンピース、袖が少し短めだからなんとなく恥ずかしいんだけれども、店員さんにもおすすめして貰って、私の骨格に合うって。
そして靴はビジュー? が付いていて可愛かったし、足元が綺麗に見えたので少し高かったけれど、思い切って購入した。
「靴はね、いい物を履かなきゃ。足元を見ればそのヒトが分かるんスよ」
涼太はそう言っていた。
確かに彼はいつも似合う靴を綺麗に履いている。
彼についていけば、素敵な場所に連れて行って貰えるだろうという気さえする。
一見軽く見てしまいがちだけれど、それから靴選びは慎重にするようになった。
いつも履いているスニーカーも、きちんとお手入れするようになった。
「オレは見てくれで判断されるのが嫌いなんスけど、見た目はやっぱり大事とも思うんスよね。だって、最初に目に入るのってやっぱり外見だし」
その言葉もすごくしっくりきた。
確かに、内面は重要だけれども、初めましてで出逢った時に最初に目に入るのは、外見だ。
不潔にしていたくない。きちんとしていなくちゃ。
そして、涼太は有名人だ。
並んでいるのを見られた時に、彼が恥をかかないような恰好でいたいと思う。
「……うん、これで大丈夫かな」
そして、いつも引っかかる問題……鞄。
流石に涼太に買って貰ったリュックで行くわけにもいかなくて、慌てて一緒に購入した小さいトートバッグを持って行く事にした。
店員さんはランチトートと言っていた。
どうやら、OLさん達がお昼休みにちょっと持って出掛けるサイズ、という事らしい。
荷物の少ない私は、その大きさで十分だったんだけれど、やっぱりもう少しちゃんとした感じの物を買っておくべきだったのかな……。
今度また、あきにお買い物付き合って貰おう。
顔に乗せていたあきオススメのシートパックをぺりと剥がして、馴染ませるようにとんとんと頬を叩いていると、スマートフォンが振動しているのを感知した。