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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第26章 オンナノコ


「桃井さん、今日は本当にありがとう。服、選んで貰えて良かったあ」

「こちらこそ、すっごい楽しかった! 普段お互いバスケ漬けで、こういう時間取れないもんね。遅くなっちゃったけど、大丈夫?」

時間は既に20時を過ぎていた。
自宅に着くのは21時を軽く過ぎるだろう。

自宅は駅から少し遠いけれど、走ればきっと大丈夫。

「平気だよ。ありがとう。桃井さんこそ、時間平気だった?」

「あ、うん大丈夫! 私はね」

桃井さんの声を遮って、男性の2人組が声を掛けてきた。

「キミたち、可愛いね! 高校生? こんな時間まで遊んでちゃダメじゃん」

声のトーンが凄く、嫌な感じ。
思わず恐怖で固まる。

「私たち、もう帰るので。いこ!」

桃井さんが手を引いてくれる。
表情を作ることも、桃井さんに返事をする事も出来なかった。

「カノジョ、元気ないじゃん。ちょっと俺たちと休んでいかない?」

2人の男が桃井さんと私、それぞれの腕を力強く引っ張った。

「離して下さい。私たち、もう帰るって言ってますよね!」

桃井さんが手を強く振り払う。
私は……動けない。

「みわちゃん!」

桃井さんと繋いでいた手が離れ、距離が出来ていく。

「おいでよ、ねえ」

「や、やめてくださいっ……!」

私も手を振り払おうとするが、離してくれる気配は全くない。

「震えちゃってんの? カワイ〜! お兄さんと気持ちよくなる事しようよ。優しくするからさ、大丈夫大丈夫」

「や、……離して」

「みわちゃん!」

足が震えて動かない。
どうして私はいつもこうなの。
もう、いや……!





「……へえ、楽しそうじゃねえか。俺も混ぜてくれよ」

背後から聞き覚えのある声。
桃井さんが、表情を輝かせながら私の背後にいる人物に呼びかけた。

「大ちゃん!」

振り返ると、青峰さんがそこには立っていた。

「オイさつき、お前が迎えに来いって言ったんだろーが。変なのに捕まってんなよ」

192㎝のコワモテ大男の突然の出現に、慌てて走り去る男達。

「ったく……ほら、帰んぞ。神崎、だっけか。オマエも、家遠いんじゃねーのかよ」

「大丈夫です……すみません、助けて頂いてありがとうございました」

まだ私は、あの程度の事でも何も進歩していない。

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