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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


涼太は、出逢った高校1年生の時よりも更に身長が伸びて、190㎝を超えた。
私も、女性にしては背が高く、170㎝近くあるし……

つまり。

「……涼太、狭い……よね?」

私が普段寝ているお布団では、どう考えても狭い。
涼太ひとりで寝るのだって、ちょっと窮屈そうな感じがするのに。

「んー別に、感じないっスけど」

「う、うそだ、狭いよ」

引き込まれたお布団内は、涼太と私が密着して、もう余裕なんてない。
多分涼太はあちこちはみ出してるだろう。
寒い時期じゃないから良かったけれど、これが冬場なら間違いなく風邪を引く。
涼太が泊まりに来てくれた時の事を考えて、お布団用意した方がいいのかな……。

はっ、泊まりに来てくれるなんて、なんてまた贅沢な妄想をしているんだろう。
だめだめ、身体が資本のスポーツ選手がこんな煎餅布団で寝るなんて、とんでもない!

顔と顔が近すぎて、とても目の前のひとを直視できそうにない。
目を逸らしたまま、新しいお布団を選ぶ妄想にでも励むことにする。

「みわ、ほっぺと口、痛むっスか?」

後頭部を優しく撫でられながら掛けられた言葉は優しくて、その声色は、彼がこれ以上ないくらい私を心配してくれているのが良く分かる。

「もう大丈夫だよ。お薬飲んだから」

「なら、いいんス、けど……」

涼太らしくない歯切れの悪さ。
本当に心配いらないのに。

心配させてばかり、気にさせてばかりは嫌だな。
折角一緒に居られるんだもん、もっと明るいお話がしたいな……。


「あの……ね、お父さんが夢に出て来たの」

「え、みわの? 顔……覚えてないんスよね?」

「ふふ、都合良くね、顔だけは見えなかったんだけど……お父さんだった。ちっちゃい頃の私が、肩車して貰ってたんだぁ」

「そっか……少しずつ思い出せるといいっスね、みわが皆に愛されてた頃のコト」

愛されてた……?

「愛されてた……のかな。それは、分からないけど……」

私、皆から疎まれていたのかもしれない。
真実を知るのが、怖いのに……なんでそんなに断言できるの?

「分かるっスよ。みわを見てれば。いっぱい愛情を受けて育ったんだなってさ」

涼太は、なんでもない事のようにそう言い切った。


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