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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


「あの、涼太……」

「ん、なんスか? なんか欲しい?」

「いや、あの、そうじゃなくて……」

食事を終えて薬を飲んだと思ったら、すぐに布団へと促されてしまった。
彼は手際よくゴミを片付け、冷蔵庫から冷却シートを取り出し、ぺちりとおでこに貼ってくれて。
ひんやりした感覚が、頭痛をどこかへ飛ばしてくれるみたい……。

「うん、どしたんスか?」

「……もうこんな時間だし、今日は、本当にありがとう」

何から何までして貰っちゃって、時間も身体も拘束してしまった。
涼太はまた明日から講義に練習に取材にと忙しすぎる日々。
1分でも早く帰って、少しでもゆっくり休んで欲しい。

「早く帰らないと、ね」

「んー、今日は泊まってこっかな。みわ、ひとりにしとけないっスわ」

「ええ!?」

……そう思ったのに、まさかのその返事。
涼太は前髪をポリポリと掻くと、そうしよっとと言って立ち上がり、部屋を出て行ってしまう。

ちょっと、ちょっと待って。

急いで布団から出ようとしたら、涼太はすぐに戻って来た。
リビングに置いてあった鞄を持って。

「待って、だめだよ、明日も朝練あるんでしょう!」

「ほらほら、起き上がっちゃダメっスよ」

「う、ごめんなさい……」

あうあう、頭が痛くてボーッとして、何を言ってるのか自分でも分からない。
薬、早く効いて!

「熱、下がらないっスねえ……」

いつもはあったかい涼太の手が、ひんやりとして気持ち良く感じる。

「大丈夫、すぐに効いてくると思うから、ひとりで大丈夫」

何の根拠もない事を言ってるのは分かってるんだけれど、無駄に涼太の負担を増やしたくなくて。

「いいって。たまには甘えてくんないっスか? どーせ帰っても、みわのコトが気になってロクに寝れやしないんスよ」

……だから、いつになったら分かって貰えるんだろう。
甘えすぎなのに。いっつも甘えすぎなのに。

短時間でもいい、目を閉じて頭痛を少しでも和らげよう、そして涼太が帰れるように……そう思っていたのに、気が付けば意識はどんどんと沈んで行ってしまった。



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