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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


「まだ、帰って欲しくないんスか?」

うう、涼太が私の失言を聞き逃してくれるわけも無く……覗き込んで来るその瞳は少年そのもの。

「う……ごめんなさい、つい」

ち、近いよ……!
逞しい腕に抱き寄せられて、密着した部分が発火してるかのように熱い。

「キス、していい?」

涼太の武器、脳みそが痺れるようなその甘い声。
今日は、ビターチョコみたいなほろ苦さ。

観念してこくりと頷くと、その唇は……額にそっと触れるだけだった。

「え……?」

おでこに……キス、だけ?
私を捕まえていた腕も、何事もなかったかのように私を解放した。

「痛そうだから、これ以上はお預けっスね」

そっと頬に触れた手が大きくて、あったかくて、いつもの涼太で。
……殴られた時に口の中を切ってしまったの、気付かれてたんだろうか。

「疲れたでしょ、今日はゆっくり休んで。あきサンはオレがお祖母さんちまで送っていくっスから」

涼太はどこまでも私の事を考えていてくれてるんだ。
私は、涙が溢れるのを堪えるのに必死で。

「ありがとう……涼太」

みっともない自分が恥ずかしくて、顔だけじゃなく頭まで熱くなる。

そうこうしている内に、あきもマクセさんを見送って戻って来た。

「あきサン、もう帰るなら送るっスよ」

「あー……っと、ごめん。ちょっと寄るトコあってさ。気持ちだけありがたく頂いておく」

「買い物とかなら寄り道するっスよ?」

あきと涼太……並んだら美男美女で、絵になるだろう。
デートって、周りのひとは思うだろうな……

……って、何を今更ヤキモチ妬いてるの?

なんか、変だ。
頭がぽーっと熱くて、それなのに身体は真冬のように寒い。

あれ……私、風邪、引いた?
身体を侵食していくのは、寒気と倦怠感。

こころの準備が出来ていないまま突然襲われて、立ち続けている事が困難になり、ゆっくりと膝をついた。




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