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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


ふたりの周りだけ、時間がゆっくり流れているような気がする……。
涼太の心臓と私の心臓、ふたりの鼓動が同調しているような気がして、凄く落ち着く……。

また、心配をかけてしまった……あれだけ言われていたのに。
私はもっと、危機管理能力を身に付けないとだめなんだ……。
きっと、自分が思っているよりも、もっともっと。
それが大切なひとを苦しめないように、必要な事なんだ。

思わずそう決意するほど、涼太はこころを痛めていた。

どの位の間か、会話もなくただ密着しているうちに、あきとマクセさんがリビングに戻って来た。

「みわ、黄瀬……今日は本当にごめん。ふたりとも、怪我は」

「オレはなんともないから大丈夫っス。みわの顔は……多分コレ、アザになりそうっスわ……」

確かに、頬はジンジンしてあまり感覚が無い。
この感じ……嫌な事を思い出しそうになる。

「大丈夫だよ、暫く冷やせば」

とにかくこれ以上、涼太にもあきにも心配を掛けたくない。
なんとかふたりを説得して──とても納得してくれたとは思えないのだけれど──ちょっと落ち着こうという話にもっていった。

あきが全員分のお茶を淹れてくれて、私達がリビングでひと息ついている間に、彼女は探し物をしに自分の部屋に入って行った。

「涼太、ごめんね……午後の練習は?」

「そんなんいいんスよ、センパイにもちゃんと言ってあるし」

「そんなの、じゃないよ! 大切な練習が」

「みわ」

「う」

「マクセサンは、どしたんスか?」

え?
涼太のその質問の意味が分からないんだけれど……

「ふたりは、一緒に来たんじゃなかったの? だって、階段上って来てたし……」

「いや、なんか12時からエレベーターの点検してるって書いてあって、使えなかったんスよ」

「そうだったんだ」

そう言えば、あきも階段で移動していた。
私はそもそもエレベーターに乗るつもりがなかったから、気が付かなかったんだ。

……あきの彼は、12時よりずっと前に来てたんだって事に気が付いて、背筋がまた寒くなった。





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