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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


懇願して懇願して……でも結局涼太は止まらなくて。
数回殴った後に、あきがようやく止めてくれた。
怖くなるくらい、現場は静かだった。

マクセさんの提案で、とりあえず全員一度家に入る事に。
あきの彼の顔面は、血で染まっていた。

「みわ、歩けるっスか」

こちらへ戻って来た涼太は、いつもと変わらぬ優しい口調だった。
何か言おうとしても、殴られたショックと涼太がひとを殴ったショックで、とてもうまく喋れそうになくて……とにかく夢中で頷いた。

これ以上私の事で面倒をかけてはいけない、と思ったのに……結局涼太は、手の甲を服の裾で拭った後に、軽々と私を抱き上げた。



リビングは、異様な雰囲気に包まれていた。
4人掛けのダイニングテーブルに座っているのは、涼太とマクセさん、それに反対側にあきの彼。

私とあきは、床に座って行く末を見守っている。

「痛っ……」

「ごめん、みわ」

あきの作ってくれた氷のうが頬に触れると、鈍い痛みが顔中に広がった。
彼女は目を合わせる度に謝って……こんな泣きそうなあき、初めてだ。
彼からDVを受けていると打ち明けてくれた時ですら、こんな表情にはならなかった。

「で、アンタなんなんスか」

私たちの会話を遮ったのは、涼太の声。
背筋が凍るような、冷たい冷たい声音だ。

その言葉が向けられた先……あきの彼は、腫れあがった顔を押さえながら何かぶつぶつ言っている。

「ストーカーみたいな真似して、みわにケガまでさせやがって」

涼太の怒りは1ミリも治まっていない。
ハラハラしながら見守っていると、あきが立ち上がった。

「ねえ、なんであたしが今日ここに帰って来るのを知ってたの?」

そうだ。
そもそも、今日は一体何が起こっていたの?


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