• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「へ」

「へ、じゃねえよ。気の抜けた顔で練習しやがって。なんか悩み事でもあんのか」

気の抜けた顔で練習……え、オレが?

「はは、みわと過ごした誕生日が楽しすぎて抜け殻みたいになってる……ってヤツっスかね?」

「そんなのいつもの事だろーが」

「ヒドイ!」

「で、あの眉間のシワはなんなんだよ。集中出来ないまま試合に出やがったら、シバき倒すぞ」

センパイに気付かれてるとは。
いつも通りにしてたつもりだったんスけど……。

「……正直に言って、顔に出てるとは思わなかったんスわ」

「そりゃ末期だな」

「すみません。明日からはちゃんと集中します」

そんな顔してプレイしていたら、チームの士気を下げかねない。
試合も控えてる、大事な時期。
エースが絶対にやってはいけないコトだ。

「出来んのかよ。原因がある限り無理なんじゃねえの」

「いや、原因っつーか……オレ自身の問題なんで」

いや、この言い方は失礼だよな。
オレ自身の問題っつーなら、絶対に外に出しちゃいけなかった。
こうしてセンパイに気を遣わせるコトになった以上、ちゃんとしなきゃ。

「あ、大した事じゃないんス。あの、みわとのコトなんスわ」

「大した事なんだろ。だから悩んでんじゃねえのかよ」

「いや、大したコトっていうか……ホント、オレに問題があるんで」

我ながら歯切れが悪い。

「……うまくいってねえのかよ」

「いや、それはないっス! 円満っス!」

センパイは一拍置いて、コップの中身を飲み干した。

「聞かれたくねえ事なんだろ。明日からは集中しろよ」

「や、聞かれたくないとかそーゆーんじゃないんスけど……なんつーか、カッコ悪すぎて言い辛いんスわ……」

「オマエがカッコ良かった事なんて今まであったか?」

「センパイ! それはないっスよ! こんな極上のイケメンを前にして」

テーブルの下から蹴りは飛んでこなかった。



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp