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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「みわ、水飲むっスか」

「ううん……へい、き」

掠れ切った声に、1ミリも動かない身体。
でも、私を包むのは倦怠感よりもずっと大きな……幸福感。

腕枕はだめだと言っているのに、少しだけだからと聞いてくれなくて。
それに甘えてしまっている私も、よくないんだけれど……。

「みわ、今からこんなんで恥ずかしがっててどーするんスか? もっと色んな事しようって言うのに」

その一言で、ちょっと目が覚めた。
そうだ……よりにもよって、え、え、えすえ、むとか……
大丈夫かな。出来るかな、私に。

「あの……ちゃんと、練習しておくね。ムチ、とか」

「え」

呆れられないように、ちゃんと練習しよう。
そう思って伝えたのに、涼太は綺麗な目をころんと丸くした。

恥ずかしいけれど、なんでも出来るって言ったのは私。
出来る限りの事を、しよう。

「あの、なんか、仮面をしたり、凄い服も着なきゃ、いけないんだよね。黒くて、ちょっとハイレグみたいな……」

「待って、なんでみわがS側になってんスか! 逆でしょ、逆!」

「えっ! わ、私ムチで叩かれる趣味はないんだけれど……!」

「オレだってないってば! てかそれハードSMだから! オレが言ってんのはムチとかないから! もっとソフトなやつだから!」

「えっ!」

……ハード、SM?
ムチとか、蝋燭とか……そういうのじゃ、なくて?

そこまで言って、涼太はひっくり返って笑い出した。
ようやく、私が盛大に間違えていた事を認識して……もう、どこかに埋まりたい。

「ぷ……いや、みわになら、叩かれても……いいんス、けどね」

「涼太! もう忘れて! 忘れて!」

「女王様なみわにイジめられんの、たまんないかもしんないっスわ」

「わ、忘れてってばー!」

涼太は暫くの間、ずーっと笑ってた。



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