第79章 邂逅
20代、って言葉があんまりピンとこない。
大人の、ってどういうものを言うんだろう?
色々考えたけれど、答えになりそうな知識をそもそも持っていない。
「あの……涼太? 大人の、ってどういう意味……?」
「んー……今日は誕生日だからってオレのワガママも聞いて貰っちゃってるけどさ、なんかこうもっと、オトナな感じに」
「なんかこうもっと、大人な感じ……」
……どうしよう、わからない。
「うーん、勢いだけじゃなくて、相手のコトを考えて、自分の言いたいコトもちゃんと伝えるっていうか」
「……」
いつも、涼太は私の事ばかり考えていてくれているのに……今更、な気がするのだけれど。
「そんで、相手のコトも自分のコトも、ちゃんと分かるようになりたいんスよ」
「……ちゃんと、分かるように」
ちゃんと、分かるように。
……セックスで?
う、早速涼太の言いたいことを分かってあげられてない。
私が無知すぎるんだよね。
ちゃんと、分かるように、分かるように……。
「上手く言えないっスね……じゃあ、これさ」
「んぅ」
涼太は私の中心に差し込んだ指を、膣壁に沿ってくるりと一周させた。
「今の、どこが一番気持ち良かった?」
「……えっ、と?」
ど、どこが?
恥ずかしがってる場合じゃない。
分からないと言ったのは私だもん。
「えっ……と、この、上の、ところ……」
うう、恥ずかしい。
「なんで気持ちいいか知ってるっスか?」
……なんで?
と、言いますと?
「ええっと……Gスポット、っていうのがあるんだよ、ね?」
涼太に聞いた単語を惜しみなく出す。
彼にはいっつも教えて貰ってばかりだ。
でもとりあえず、恥ずかしくてさっきまでとは違う理由で死にそうになっております。
「んーとね、間違ってないんスけど、正解でもないっスね」
「……へ?」