第79章 邂逅

「ん……っ、っ」

唇からの酸素供給を塞がれて、おへそのあたりをツンツンと刺激されて……たったそれだけなのに、感じてしまう。

撫でながらシャツに差し込まれた手は、乳房に触れる。
……先端に触れないよう、外側からゆっくりと揉みしだかれると、勝手に身体が捩れてしまうのを止められなくて。

「んっ、ふ……ぅん」

そう……気を遣わせたかったり悲しい思いをさせたりしたいんじゃない。

今はお祝い、したいんだ。
皆の言葉に甘えて、ちゃんとお祝いしよう。
涼太に気持ちよくなって貰って、それで……

涼太に触れようと伸ばした手は、すかさず彼の大きな手に捕まってシーツへと縫い止められた。

「涼太……？」

「オレ、今はみわを抱きたい。セックスしたいでも、イチャイチャしたいでもなくて、抱きたい」

「……え……？」

一瞬そう言われて……考えたけれど、違いが分からない。

「はは、わかんないっスよね。なんかさ、セックスとかイチャイチャって対等な感じしないっスか？」

対等……うん……なんとなく分かる、けれど？

「今日はね、みわのコトを好きなだけ抱きたいんスよ。みわは、オレのコトを気にせずにただ感じてて欲しい」

「えっ、だってそれっ……んん」

胸を揉んでいた手はするりと離れていってしまって……刺激して貰えなかった先端が、じくりと熱を持ち始める。

肋骨をなぞりながら、手は背面に回されて……涼太は指で器用に肩甲骨を弄り出した。

「んっ、あ……！」

「背中……マジで感じやすいんスね、かわい」

身体が勝手にビクビクと跳ねる。
待って、待って。

「あ……んっ、涼太、待って……おたんじょうび、なのに……あっ！」

音も無くシャツが捲し上げられ、緩やかな膨らみが彼の前に曝された。

涼太は身体に触れていた手を離し、口の端を上げながら私を見下ろしている。

「お願い……あんまり見ない……で」

恥ずかしい……見られてる。
この、ぺったんこな胸……色気のない身体を。