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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「いやー、これでようやく酒解禁っスわ!」

結局涼太は、凄い勢いであっという間にホールの半分ほどを平らげてしまった。

小さめのタルトとはいえ、フルーツずっしりで結構重いはず……なのに、スポーツ選手の胃袋って凄い。

傍らには、紅茶。
涼太の好きなメーカーの物だ。

「ねえ、涼太……本当にお酒、飲まなくてよかったの?」

折角の20歳のお誕生日、記念にお酒を……と提案したのに、断られてしまったのだ。

「ん? いいんスよ、来月のみわの誕生日に一緒に飲むって決めてるから」

「それまで飲まないってこと?」

「うん? そうっスけど?」

散々、笠松先輩達と早く飲めるようになりたいと言っていたのに……いいのかな。

「……待たせてごめんね。早く年取るから待っててね」

「なーに言ってんスか。たった半月ちょい」

はは、と笑い飛ばす姿はいつも通りなんだけれど……。

「涼太、成人して何か変わった事ある?」

「んー、特には」

「そっか……なんか、20歳……昔小さい頃、自分が想像してたのとは違ったな……」

「分かるっス! なんかもっとオトナになってるモンだと思ってたっスわ」

「そうだよね、私もそう思ってた」

……実際は小さな事で躓いて悩んで、苦しんで……高校生だった頃となんにも変わらない。

もっと劇的に何かが変わると思っていたけれど、決してそんな事はなくて。

大人になるって、なんなんだろう?
どうしたら、大人になれるの?

皆、こういう疑問は持たないのかな……お母さんに、相談したりするのかな?

大人になれば、勝手に成長出来ているものと思っていた時代がある。

そんな訳ないよね。
皆、自分の足で歩いて、傷付いて、笑って、強くなるんだよね。

「残りは明日頂いてもいいっスか?」

「うん!」

私も少し食べたけれどまだまだ残りは沢山ある。

明日も美味しく食べて貰えますように……願いを込めて、冷蔵庫へしまった。


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