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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「みわ? 大丈夫っスか?」

「だ、大丈夫! ごめんなさい、隣の袋に引っかかっちゃって」

背後に涼太の気配がして、焦って冷蔵庫を閉めた。
明らかに不審な動きの私を変に思う様子もないみたい。

見間違い?
ううん、見間違いじゃ、ない。
……でも、そういう意味じゃないかもしれないし。

でもでも、そういう意味じゃなかったらどういう時に使うんだろう?
いやいや、だからこんな日にそんな事考えるもんじゃないってば!

ほら、涼太も先輩方と食べるって言ってたし、もしかしたら一緒にバスケをした、とか。
でも、もしそうだとしてもそんな関係であんな言葉使う?
素敵な夜を……って、もうー! 邪念はどこかに行ってー!!

「みわ、百面相」

涼太は楽しそうに笑いながら、テーブルへと戻って行った。
……考えるのはやめよう。本当に、疑うこころは勝手に肥大化していってしまうの、よく分かっているから。

「もしかして、あっちのお菓子も食べたかったんスか? 開けようか?」

「ちっ、違うの! 先輩方と食べるんでしょう、折角頂いたんだから、取っておいて」

「そうスか? まあ、オレはみわのケーキ食べれるならあっちはどうでもいいんスけど」

どうでも、いいんだ……。
ふとした瞬間にまた考えている事に気が付いて、自己嫌悪。

本当に、もう考えるのはやめ!
今か今かと心待ちにしてくれている涼太の目の前で、ケーキの箱を開けた。

「おおーっ! すげえっスね!」

今年は、涼太のリクエストでフルーツタルトを作った。

甘酸っぱいのが食べたいという彼の要望のもと、乗せたのはマンゴーにグレープフルーツ、洋ナシにいちご、ブルーベリー、キウイ、オレンジ……見た目も華やかになるように、色々なタルトの写真を調べながら。

イメージは、コートの中で舞う涼太。
つやつや艶めいていて、誰よりも輝いている、宝石のような姿。



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