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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「んー、ウマいっ!」

この瞬間が、説明出来ないほど幸せ。
大好きなひとが"美味しい"って自分のご飯を食べてくれるのって、なんて嬉しいんだろう。

「みわ、ちゃんと食べてるっスか?」

「うん、食べてるよ」

その姿を見ているだけで、胸がいっぱいだ。
空腹……も感じてた筈なのに、今はそうでもなくて。

「みわのメシはさあ、なんてゆーか、ほんわりするんスよね」

「……ほんわり?」

「そ、なんかほわほわってして、ホッとするんスよ」

「ほわほわ……」

「みわみたいっスね、作るヒトに似るんスかねえ」

私みたい……って。

「なんスか、ぽかーんとして。癒されるっスよ、みわ」

癒される?
涼太が? 私で?

ああ、またいつもの。
涼太はいつも私を褒めて励まそうとしてくれてるんだ。
気を遣わせたいわけじゃ、ないのに。

「あのっ、ありがとう、あのね、ケーキも、あるよ」

そしていつも訳のわからない返しをしてしまう。

想ってくれているのも分かる、大事にしてくれているのもちゃんと分かってる、それなのにいつもいつも余計な気持ちばかりが邪魔をして。

……結局、付き合い始めた高校1年の頃から、何にも進歩してないんだ……。

「じゃあ頂くっス」

涼太は気にした様子もなく、ニコニコと笑顔を向けてくれている。

冷蔵庫を開けると、一番上の段に私のケーキと……隣にもビニール袋が入れてある。

「涼太、この上の段の袋、このままでいいの?」

「ああ、お菓子貰ったんスよ。センパイ達と食おうかと思ってさ」

「そうなんだ……わっ」

ケーキだけ取り出そうとしたのに、指が引っかかって隣の袋まで落ちそうになってしまう。

慌てて手で押さえたら……半透明な袋の中にメッセージカードが入っている事に気がついた。

ドクン、また心臓が嫌な跳ね方をした。

綺麗な手書き文字。
メッセージは英文。

"素敵な夜を、ありがとう"

そう、書かれていた。


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