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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


昨日、日が変わる直前に涼太からお返事があって。
お誕生日のお祝い、予定通り出来る事になった。

日が変わってすぐ、お祝い言えて良かった……。

今日は、朝家を出て昼前には涼太の家の最寄駅に到着。
こっそり涼太の大学を覗きに行って……驚いた。

体育館の観覧席は開放されていたんだけれど、そこには溢れんばかりのひと・ヒト・人。
一瞬、公式戦の大きな体育館に来たのかと錯覚するほど。

かなりの数のカメラマンや記者の数。
バスケ雑誌だけではないだろう。

そして、体育館を包む黄色い声。
涼太にボールが渡るたびに割れんばかりの歓声が響く。

……でも、彼の"黄色"は、そんな声にも負けないくらい鮮やかで。
まるで、目の前にいる彼は幻影なんじゃないかと思う位、軽やかで眩しすぎて、霞んで見えた。

お昼の休憩のタイミングで私も体育館を離れ、涼太の家の近くのスーパーでお買い物をして帰る。
2回目だというのに、合鍵を持つ手は相変わらず震えて。
ドアを開けた途端に香った彼の残り香に、暫くぼんやりとしてしまった。



「ん、これでよしっ」

準備時間はそれほど多くなかったけれど、何品かの仕込みを終えて、ホッと息をつく。
エプロンを外してから、お手洗いをお借りした。

「……あ」

気にしないように気にしないようにと思っていたのに、つい見てしまった……あのポーチが置いてあった場所。

何にも、なくなってる。
……持ち主が取りに来たのかな。
あ、もしかして、誰か来てたから昨日、お返事が遅かったのかな。

…………だから、そういう想像はしちゃダメだってば。
こんなの、ただの妄想なんだから。
涼太を信じてないって言ってるようなものだ。

「ただいまっスー」

「あ、おかえりなさい!」

慌ててトイレから出て、部屋へと戻る。

「お誕生日おめでとう、涼太」

振り返った涼太が向けてくれた微笑みは、いつものおひさまみたいなあったかさだった。


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