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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


少しだけ……少しだけ泣いて、不安な気持ちを流してから、お風呂に入った。
試合中と一緒。
いつもの行動をする事によって、気持ちを"いつも通りに"落ち着けるというのを自分でも実践しよう。

いつものようにお手入れをして、いつものように入浴する。
……確かに、波立っていた気持ちが少し凪いできたみたい。

お風呂を上がってからすぐに化粧水やボディクリームで保湿をして、白湯を飲んで水分補給。
身体が冷えてしまう前にストレッチを。

……いつも通り。
深く呼吸をして、もうひとくち。

スマートフォンを手に取ると、閑田選手からのメッセージを受信していた。

"彼氏とケンカしてるみたいだけどさ、ちゃんと話した? みわは勝手に一歩下がるタイプだから、悩んだ時は意識して一歩踏み出した方がいいんじゃない?"

……ちゃんと、話してない。
私がうじうじひとりで考えているだけだ。

涼太はいつも、ちゃんと向き合ってくれるのに。
私は、臆病な自分に負けてばかり。

意識して一歩、踏み出す。
自分に自信を持てている閑田選手の言葉、少しだけお借りしよう。

電話、してみよう。



また不安が顔を出さないうちに、さっと発信ボタンを押す。
1コール、2コール、3コール……
ああ、この電子音、苦手……。

7コールまで粘って、終了ボタンをタップした。
忙しいのかな。寝てしまった? 誰かと会ってる、とか……。

ちらりと脳裏に浮かぶのは、女性物のあのポーチ。
それに、中に入っていた、避妊具……。
鮮やかな色が、焼き付いていつでも隙を見て顔を出してくる。

……ううん、状況が見えてないのに、いらない想像はするもんじゃない。

メッセージを残しておこう。
明日、予定通りお祝いさせて欲しいって。

当初の予定通りに荷造りをして、お買い物リストに目を通して……うう、純粋にお祝いしたいのに、なんでこんな状況にしてしまったんだろう。

ごめんなさい、涼太。




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