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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


『あー、そゆことか。分かった、サンキュ。みわの資料使いやすくて助かる』

「そこの表記、分かり辛いですね、お手間を取らせてしまってすみません。見直します」

『ん、サンキュ。明日皆にも言っとくわ』

「ありがとうございます。マクセさんにも連絡して、周知して頂くようお願いしておきます」

資料作りだって、まだまだだ。
こうして直接意見を頂けるのは、すごくためになる。
自分ひとりで勉強していても、分からないこと。

『そだ、マクセさんは来週こっち来るって言ってたけど、みわは来月だよな? その頃には成人してんだから、誕生祝いと成人祝い、しようぜ』

閑田選手はそう言って電話を切ってしまったけれど……ごめんなさい、今は来月の事を考えている余裕はなくて。

そう言えば、マクセさんもお祝いして下さると言ってた……皆さんに気を遣わせてしまってなんだか申し訳ない。
お誕生日……。

はぁ、と大きなため息が出た。
また振り出しに戻る。どうしよう。
もう、迷惑かな。
あのポーチのひとと、一緒に過ごしたりするのかな。
ああ、また余計な事ばっかり考えてる。

怖い。
どうしたらいいのか分からなくて、怖い。

でも……逃げたくない。

……お誕生日、特別な日だ。
大切なひとがこの世に生まれた、大切な日。

お祝い、したい。

怖いって、何が怖いの?
ちゃんと、目を逸らさずに考えないと。
涼太の顔が怖かった? 違う。

そうだ、怖かったんだ。
……もう必要ないって、言われる事が。

「お風呂、入ってこよう……」

お風呂に、入らなきゃ。
そうしたら水分を取って、ストレッチをして……

そう思うのに、身体が動かない。
めそめそしてたって、仕方ないのに。

あのひとが嫌いな弱い人間には、なりたくないのに。

じわじわと、左手がジンと痺れるような感覚。
頬を温かいものが伝う。

今だけ、少しだけ。
少しだけ泣いたら、すぐに元通りになるから。

お願い、涙さん……弱いこころを全部流して。
強いこころだけ、残るように。

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