第79章 邂逅
順風満帆?
涼太と私の関係が?
……閑田選手は知らないけれど、そんな事、全くない。
いつもどこかすれ違っているような不安があって、好きなのに好きなのにどこか噛み合わない気がしてしまう。
こんな私が、家族にすら愛されなかった私があんな素敵な男性に愛して貰えるなんて……そんな風に卑屈になる事がプラスになるわけないのに、そんな事考えるのは何より涼太に失礼なのは分かっているのに……。
不安。
説明出来ない不安がいつも付きまとう。
そんな自分を変えられない事が、いつも悔しい。
こんな風に思ってしまうのが、とっても悲しい。
どうしたらいいんだろう、いつも自問している。
でもきっとこれは、自分で見つけなければならない答えで。
『図星? 俺、みわの事狙ってんだけど』
「また、そんな事言って……」
『みわは全然信じてくんないんだよなぁ。みわって結構モテるよ? 皆可愛いって言ってるし』
「え、ええ?」
また、全く思ってもみない方向からボールが飛んでくる。
彼のこの発言が嘘か本当かは分からないけれど、多分少し盛られているんだろう……元気づけようとしてくれているのかな。
『今度会ったらゆっくり話聞くよ。俺の方が良かったら乗り換え全然オッケーだからさ』
「……閑田選手、何の御用だったんですか?」
『はは、ごめんごめん。この間借りた資料の59ページにさ……』
"俺の方が良かったら"
"乗り換え全然オッケー"
彼はどういうつもりでこういう事を言うんだろう。
考えるけれど、これも答えは出なくて。
涼太との事も、普通のひとならすぐ答えが出せるのかな。
私、本当にひとの感情に鈍感なんだ。
優しいひとになりたい、なりたいというだけで、理想と現実は乖離する一方。
自分に自信なんて、持てないよ……。