第79章 邂逅
「あのさ、みわ」
「は、はい」
そう言う涼太の顔はいつになく真剣で。
なのにいきなり子どもみたいな顔で笑ったりするから、本当に油断できない。
心臓がいくつあっても足りないよ……。
「オレはさ、みわが一番大切なんスよ」
「へ……」
「あ、バスケは別。みわは言わなくても分かってくれてると思うんスけど、バスケはもうあって当たり前のモンだから」
「うん」
涼太にとってバスケはかけがえのないものだ。
代わりなんてない、これ以上にない大切なもの。
「オレはね、みわが好きなんス。ずっと一緒にいたい。みわがマジメで可愛くて優しくてカッコ良くてとにかく」
「ちょ、ちょっと待って!」
待って、今日は何の話をしに来たんだっけ?
どうしてこんな話になっているんだっけ?
というか何、今の単語の羅列は一体何が起こったの?
「ごめんなさい、ちょっと頭がついていってないの、あの、あの、あれです、おばあちゃんの家に寝泊まりするというお話ですよね、はい、あの、ちょっと、あの、考えます、良い方法、カンガエマス」
涼太が何を言っているのか分からない以上に、自分で何を言っているのか分からなくなってきた。
「みわ、あきサンが大変なのもツライのも分かったんスけど、誰にどんな事があってもまずは自分を第一に考えて。……無理かもしんないんスけど、なんでも自分あってのものでしょ?」
「自分あっての……」
「みわが元気でいなかったら、誰かを助けるなんて無理っスよね?」
「うん、健康は大事だと思う」
涼太の言う通りだ。
風邪を引いたりすると分かる、健康って何よりも大事だってこと。
「……オレもさ、長年みわと付き合ってて、どうしてこの話だけこんなに言いたい事がすれ違うのかどうにもまだつかみ切れてないんスけど」
涼太は頭を抱えてしまった。