第79章 邂逅
はあ、と重めの息がひとりでに吐き出された。
でもこれは、みわにウンザリしてるとかそういうんじゃない。
彼女の背景はちゃんと分かってる。
みわがこうなってしまったのは、みわのせいじゃない。
オレがこれから、みわが自分を大切に出来るようにしていく。
もうそれはずっと前から決めてるコト。
そんでちゃんとみわの気持ちが固まったら、みわのお母さんにふたりで会いに行く。
義務とかそーゆーんじゃなくて……自分の大切なヒトが自分のコトを大切に出来ないなんて……そんなの悲しすぎるから。
みわが周りのヒトに優しくするように、自分自身にも優しくなって欲しい。
「みわさ、オレはみわのコトがすげえ好き。それは分かってくれてる?」
「え」
一瞬で固まって、まばたきが多くなって、ほっぺたがピンクに染まって行く。
「……うん、分かって、る」
そう、これはちゃんと伝わってる。
みわの気持ちも、オレに伝わってくる。
「みわはさ、全部自分のせいにしすぎ。今日の天気まで自分のせいだと思ってんじゃないっスか」
「え……そんなことないよう」
このころころ笑うのがホント好き。
いやいや、そんなコトないとか言ってるけどそうとも言い切れない。
みわは、日常的に責められてきた。
お前のせいなんだって。
うまくいかないのはお前のせいだって。
母親の恋人に犯され続けていた事を母親に相談するなんて、どれだけ勇気が要っただろう。
それなのに、彼女の訴えは信じて貰えなかった。
そういう出来事があるたびに、自分の優先順位がどんどんと下がっていく。
それは、彼女の意思とは無関係に。
ノー天気に前に前に進んでいくオレとは正反対だ。
どうやったらみわが自信を持てるか、正直まだ全然分かんない。
でもさ、愛がなんとかしてくれるかもしれない、って思うのは都合が良すぎるっスかね?