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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第25章 勉強だったり合宿だったり新学期だったり


「黄瀬と神崎は普段時間もないだろうし、当日、ビラ配りとかをお願いしてもいい?」

私達が普段顔を出さない事に難色を示す事もなく、我がクラスの海常祭委員はそう言ってくれた。

勿論、快諾した。

お化け屋敷は大がかりな装飾物などを多数作らなければならないので、作業を分担して計画を立てている。

担当してしまうと、「部活なのでいません」では済まなくなってしまう。

だから、この申し出は大変ありがたい。
普段からバスケに打ち込んでいる2人に理解ある同級生で良かった。

結局私は、黄瀬くんやその他数人とビラ制作を手伝う事になった。

午後の2時間で、デザインを始めとした形はほぼ見えてきた。

後は時間に余裕があるメンバーにより現物に近いサンプルを作成してもらい、修正を繰り返す予定だ。

そういった事なら普段の休み時間でも出来るし、とても助かる。

普段からあまりクラスメイトと話す事はないけれど、こういうイベントごとだと殆ど話さない人達とも話が出来るから、それが何より嬉しかった。

放課後、部活が始まる前に部員の皆と海常祭の話題で盛り上がる。

3年生の先輩はやはり、殆どが飲食店のようだ。

私は最初のビラ配りさえ終えてしまえば後は自由に回って良いとのことだったので、黄瀬くんと先輩方のクラスを回る約束をしていた。

浮かれていた。
楽しかった。



次の週には、テストの結果が返ってきた。
私の結果はどうでもいい。

黄瀬くんの結果が気になっていた。

隣では、恐る恐る答案用紙を覗き込む黄色い頭。

人よりも立派な体格をした彼がそういった仕草をするのが、なんだかとても可愛らしい。

どうだったんだろう。
臨時家庭教師をした立場からしてみれば、いけるはずだった。

黄瀬くんはやはり何をするにもカンがいいし、最初はチンプンカンプンだった問題も一度解いてしまえば、なんとなく要領を掴めてしまうのだから。

黄色い彼は、答案用紙の隙間から綺麗な瞳をこちらに覗かせると、破顔した。

信じてはいたけど、やっぱり嬉しい。

試合の時にするように、こっそりと教室の隅で、拳を合わせた。


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