第79章 邂逅
「涼太……ごめんなさい、心配ばかりかけて」
こんな事にも気付けずに、どうしてひとの心配なんか出来るんだろう。
大事にしてくれるひとを大事に出来なくて、何が守れるっていうの。
涼太は、両手を拘束していた指を放してくれた。
すっと熱が逃げて、指先にまで血液がすんなりと流れて行くような感覚。
ゆっくりと起き上がると、涼太は胡座をかいて、ごめんと言った。
涼太が謝る事なんてないのに。
「……でも、ちょっとは分かってくれたみたいっスけど、多分オレの言いたい事はあんま伝わってない気がする」
神妙な面持ちで、彼はそう言い放った。
心配、かけてしまっていたんだよね?
それ以外に、何か伝えたい要素が……?
「えっと……心配かけないで、って事、だよね?」
「んー……なんかね、ちょっと違うんスわ」
わしゃわしゃと頭を掻くと、柔らかい髪の毛先が踊る。
それがなんだか綺麗で、空気も読めずに一瞬目を奪われてしまった。
「今さ、なんでオレの言いたい事が分かんないんだろって、自分を責めたでしょ」
「え……?」
「"涼太はなんで怒ってるの! なんで私の言いたい事が伝わらないの!"って思った?」
「思わなかった……けど?」
「"なんで私は涼太の言いたい事が分からないんだろう"っスよね?」
「うん……そう、だけど?」
涼太の言いたい事が、やっぱり分からなくなってしまった。
なんか、変?
というか、やっぱり私の考えてる事ってお見通しなんだなぁ。
「みわさ、なんでもかんでも自分のせいにするのはもうやめにして」
えっ?
「えっと……だって、自分が原因の事は、ちゃんと自分で受け止めないと……だよね? なんでもかんでも自分のせいに……なんてしてないよ。今までの事だって、自分が原因だから反省するのは当たり前かなって」
「今まで巻き込まれた事件で、アンタが原因の事なんて無かったから言ってんスよ!」
え、ええ!?