第79章 邂逅
「りょ、涼太、放して」
「放さねえっスよ。みわが分かんねーコト言ってる限りは」
「そんな……」
声が勝手に震える。
どうしたら、いいんだろう。
どうしたら、分かって貰える?
「ねえ、どーすんの? 少しでもそういうの、考えたコトあるんスか?」
あきの彼が襲ってきたら、って?
正直に言って……考えてなかった。
涼太に言われて初めて気が付いたくらいだ。
あきが襲われるかもしれない、とは考えていたけれど。
でも、普段ならともかく、今はそんな事を言ってる状況じゃなくて……。
「今はね、とにかく今はあきの事が第一かと思って」
必死に私の気持ちを伝えた……つもりなんだけど、涼太は険しい表情のまま、深い深いため息をついた。
「ねえ、確かにオレは言ったよ。迷った時はさ、みわがやりたいようにしてって。でもこれは違うっスよね。自分をないがしろにしてやっていいコトじゃないっスよね?」
「な、ないがしろにしてるつもりはないよ」
「じゃあさ」
瞬間、視界がひっくり返った。
押し倒されたと気が付いたのは、ひんやりとした床の感触を感じてからだった。
「抵抗してみてよ。ねえ」
冷たい声。
それに反して温かい指が、首筋を伝う。
シャツ越しに胸の膨らみを撫でて、そのまま下りていく。
「や……っ、涼太、やめて」
両足の間に涼太がいるせいで、足は全く動かせない。
長い指に絡め取られて、あっという間に両手の自由を奪われてしまった。
頭の上で纏められた両手は、グーとパーを繰り返す事しか出来ない。
「ねえ、涼太、おねが……んっ」
裾から入り込んで来た手が腰を撫でて、思わず身を捩る。
いつもと違って、快感と共に送られてくるのは……困惑。
「なんで分かんないんスか? ねえ、本当に分かんないの?」
何、どうして?
涼太がどうしてこんなに怒ってるのか、分からないよ……!