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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


睡眠時間を削る……そうなるよね。
そこまでは具体的に考えてなかった。
勉強は移動時間にも出来るし、終電もそれほど早くないというところまでは調べてたけど……。

「う、うん、そう……なるかな」

涼太は床を踏みしめるようにして、こちらまで戻ってきた。
行きよりもずっとゆっくりだ。

座る際にカタンと立てた椅子の音が、いやに大きく聞こえる。

「こんな言い方したくないけどさ、そこまでする必要、あるんスか?」

「え……」

涼太の口調、冷たい……怒ってる?
さっき、仕方ない……って納得してくれた訳じゃ、なかったの?

でも、私だって何も考えずに結論を出した訳じゃない。

「あの、あきね、今すごく傷ついてて……出来るだけひとりで不安にさせたくないっていうか、おばあちゃんはいるんだけど、そうじゃなくて、今は近くに居てあげたいの」

「だからさ、それでみわの負担ばっかり増やしてどーすんの? オレにはそこまでする必要性が感じられないんスけど。あきサンだってもう子どもじゃないっしょ」

怒って、る。
怒らせてしまった?
手が、震える。

「私は負担なんて思ってないよ、だから」

「実際負担になるじゃないスか。怖くて電車で寝る事も出来ないし、男の隣に座るのだって出来ない。そもそも電車に乗るコト自体がすげえストレスになるのに?」

「……う」

涼太の……言う通りだ。
反論のしようもない。

「あきサンの不安って言うけどさ、それを和らげるためにみわが不安を抱えなきゃならないんなら、オレは絶対反対だから」

どうしよう……こんな雰囲気になるなんて思ってもみなかった。

涼太は賛成してくれるって、思い込んでいたから。

涼太は、その大きな手で私の手首を掴んだ。

「あきサンの彼氏がさ、みわの後つけてきて襲われたらどーすんの? こーやって掴まれたら抵抗出来んの?」

強い力。
ビクともしない。

男のひとの力に敵うわけないって、よく知ってる。


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