第79章 邂逅
「りょ、涼太の心配はごもっともなんだけれど……あの、出来る限り協力したいの。私が出来る事なら、なんでも」
どんな時にでもあきは側にいてくれた。
友達って、その存在だけでこんなにも有り難くてこんなにも大切なんだって、あきが教えてくれたんだ。
その大切な友達が苦しんで困っているのに、一歩引いてなんてこと、出来ない。
「オレが、そういうコトしないでって頼んでも?」
じっと見据えて来る、琥珀色の瞳。
でも……
「……うん。ごめんなさい、これは譲れない」
たっぷり十数秒視線を交わして……涼太は大きなため息をついた。
「まあ……みわなら、そう言うっスよね」
「ごめんなさい。涼太の気持ちはちゃんと分かってるつもりなんだけど……」
「いや、いいんスよ。オレ、みわのそーゆートコに惚れてんスから」
「ほっ!?」
「ん? なんスか?」
「な、なんでもないです……」
涼太の一言で、言おうとしてた事が全部飛んだ。
突然そんな事言うなんて、ずるい。
このひとは、自分の言葉がどれだけの威力を保持しているのかが分かっているんだろうか。
デザートのゴールドキウイをひょいと口に運んで、食事を終えた涼太はご馳走様と丁寧に挨拶をし、食器を片付け始める。
「で、話そうとしたコトってそれが全部? じゃないっスよね?」
そ、そうだ。
吹っ飛んでる場合じゃない。
「あの、あの、私もね、暫くおばあちゃんの家に寝泊まりしようかなって」
カチャカチャと食器が重なり合っていた音が……止んだ。
「え? みわまで? 学校とかバイトとか遠すぎてめちゃ時間かかんのに、どーするんスか?」
「ん、それは、暫くは仕方ないかなって……」
「仕方ないって、睡眠時間削るってこと?」
涼太の瞳が、非難めいた色を帯びた気がする。
口調も、さっきよりもずっと厳しい。