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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「サンキュな。神崎にもよろしく頼む」

「はい。また明後日よろしくお願いします」

笠松センパイは夕飯を食べたらさっさと帰ってしまった。
本当に、新しい戦術について確認と相談をしただけだ。

センパイって、彼女作らないんスか?
なんて聞こうものなら、容赦なく蹴りが飛んでくる。

高校の頃から結構モテてたのに、女性は本当に苦手らしい。
大学生になった今でも、あちらこちらから好意の声を聞くのに。

「ま、センパイらしいっスかね」

思わずひとりごちてから机の上の麦茶をひとくち飲んだ。
さ、風呂にでも入るか。

給湯器のスイッチを入れ、湯沸かしをしようとして……玄関のチャイムに止められた。

誰だ?
荷物が届く予定なんか、あったかな。

『ハロー、バスケしよう』

画面の向こう側に居たのは、見覚えのある長めのボブ。
指先でくるくると回っているのは、見慣れた球体だった。



「久しぶりだね。とはいえ、結構誘いに来てたんだよー」

不満げに頬を膨らませるのは、いつか会った酔っ払い。

インターフォンの録画に残っていた画像を思い出す。
文句を言われても、不在だったのだから仕方ない。
そもそも連絡先どころか、名前すら知らないのだから。

「あの、オネーサン。オレの都合は?」

「オネーサンじゃないよー。ちゃんとチアキって名前があるんだから」

「いや初耳だし」

「チアキって呼んでいいよ」

別にオレはどっちでもいいんだけど。
っつーかどうでもいいんだけど。

「ちょっとだけやったら満足するからさ、付き合ってよ」

「いやオレもう風呂入って寝ようと思ったんスけど」

あとボタンひとつで、極楽が出来上がるのだ。
マジで、邪魔しないで欲しい。

「何? 私に勝つ自信がないのかぁ。確かに、現役バリバリの黄瀬涼太が女子選手に負けたとかシャレになんないもんね」

「……オレに勝てるって言いたいんスか?」

ニヤリと笑った彼女の顔を見た途端、負けず嫌いの自分を恨んだ。





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