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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第25章 勉強だったり合宿だったり新学期だったり


新しい席に着くと、最後列から見える景色は今までのものと全く異なっていた。

更に、これからは隣にみわっちがいると思うと、退屈だった授業も楽しみにすら思える。

たったこれだけの事で、まるで世界が変わったかのような気分になれるのだから、席替えひとつといえど、侮れないものだ。

席を移動すると、若干困惑したようなみわっちが既に移動を終え、オレに視線を送っている。

「よっ、よろしくね」

ちょっと声が上ずっている。
嬉しかったのはオレだけではないと、そんな部分からも察することが出来て、オレも思わず口元が緩んだ。

「よろしくっス!」

しかしそんなオレたちの温かい時間をぶち壊すように、テストが配られ始める。

連日の補習なんて、マジでシャレにならない。

中学時代にはそこそこだった勉強も、高校に入ってバスケに集中するようになってからは、ついていけない授業が増えてきてしまって。

寝てたりバスケの事ばっかり考えてるからかもしれないっスけど……。

だから、こんなオレに付きっきりで勉強を教えてくれたみわっちには、本当に感謝している。

彼女の頭脳からしてみたら、オレの理解度なんて珍獣の域を出ていないかもしれない。

勉強ではてんで自信のないオレに、みわっちが小さな声で囁く。

「あれだけやったんだから、大丈夫。焦らず、ゆっくりね」

緊張を覚えている耳に、その音はひどく柔らかく染み込んできた。

よっし、もうどう足掻いても、出来ることしか出来ねーっス!






そんなこんなでテスト漬けの午前は終わり。

今は、いつもの旧図書室でみわっちと昼ご飯を食べている。

「どうだった、テスト」

責めるわけでもない、好奇でもない、純粋にどうだったかと聞いてくれているのが分かる。

あれだけ教えたんだから、ちゃんと出来たんだろうな?という意味を孕んで聞く権利がみわっちにはあるのに。

「……やれることは、やったっス」

「そっか」

みわっちは微笑んでそれだけ返して食事の続きに手を付けた。




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