第79章 邂逅
他の世界の事は知らないけれど、才能・運……様々な要因で、ひとは成功を勝ち取っていく。
でも、そこにひとが関わる以上、自分のことしか考えられない人間は淘汰されていくものなのかもしれないな……。
怖い。
私も、自分勝手にならないように、気を付けなければ。
すすんでひとを傷つけるような人間になりたいとは思わないから……。
優しいひとに、なりたいな。
いつも私を照らしてくれる、太陽のような、優しい涼太のように。
「そ。だからさ、人の意見を受け入れられるって、それだけでスゲエ才能なんだよ。もっと自信持ってやれば?」
「自信……持てるように、頑張ります」
ずっと、周りのひとから言われ続けている事だ。
自信を持つようにって。
でも、なかなかそれが出来ない。
どうやったら、変われるんだろう?
自分を認めるって、なんて難しいことなんだろう。
「俺が自信持てるようにしてあげるよ」
「……えっ、閑田選手が、ですか?」
突拍子もない発言には、いつも驚かされる。
彼は愛嬌がある瞳をゆるりと緩めて、大きく頷いた。
「自信、持てるようにしてあげる。俺と寝れば分かるって」
……。
「ね……」
ね!?
「かっ、閑田選手は真面目なのかいい加減なのか分かりません!」
「いや、本気で口説いてるんだけど?」
お腹を抱えて笑っている姿が憎らしい。
どこまでも振りまわすつもりなんだ、このひとは。
もう一言抗議しようとした瞬間、響いたのは休憩の終了を表すホイッスル。
「ほら、もう休憩終わりですよ! 相談に乗って下さってありがとうございました!」
「プッ、ほらそこでちゃんとお礼を言うとことか、好きだわー。その気になるの待つ事にする」
「な、なりませんってば!」
困ったことばかり言うひとだけれど、相談して良かった。
あきと、楽しい時間を過ごそう。