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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「ごめんね、あき……咄嗟に変な事言って。嘘つかなきゃいけなくなっちゃって……」

あきは顎に手を当てると、少しだけ考えて顔を上げた。

「いや、行くわ、ひとり旅。成人したらなんかしたいと思ってたし、ちょっとひとりで考えたい事もあったから丁度良かったかも」

迷う様子もないその発言に、自分でも目が丸くなってるのが分かる。
そうだ、あきは既に20歳になったんだった。

「そんな、もう来週末の事なのに大丈夫?」

「大丈夫っしょ、これから宿探すし。ひとりなら結構空きがあるもんだよ」

変なの、なんだか凄く大人の女性になった気がする。

「あの、みわがお世話になってるんですよね。すみません、突然。話合わせてくれてありがとうございました」

あきは、立ち上がるとマクセさんに向けて深々と頭を下げた。

「いや、神崎が困ってるようだったからな。特段何か凄い事をしたわけではないよ。役に立てたのなら何よりだ」

「ありがとうございます、マクセさん」

「とはいえ、まだ暫く彼は近くにいるだろうから、少しゆっくりさせて貰おうかな」

「えっ?」

「いるよ。俺がすぐ出てくるか、暫く見張っているはずだ」

「どうして……分かるんですか?」

どうしてそんな事、分かるんだろう。
あきは何も言わない。
特に驚いた様子もないし、反論する気配もない。

「歪んだ自己愛の持ち主みたいだからね」

「歪んだ……自己愛」

あまり、ピンとこない。
どういうひとの事を言うんだろう。

「キミの彼氏かい?」

「はい……あたし、あきです」

「あきさんか。ああいう男は、突然豹変してモラハラや暴力に走ったりするから、十分気を付けた方がいい」

ピッタリのその指摘に、言葉を失う。

あきは小さく頷いて、そうですねとだけ答えた。




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