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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「あ、もう金曜までは時間が合わないですし、今打ち合わせしたいです。大丈夫です、私は」

出来る限り自然さを装って言ったつもりだけど、だいぶ早口になってしまった。
顔にも出していないつもりだけど……出てるかもしれない。
ううん、多分出てるんだと思う。

ちらりとあきの様子を窺うと、あきはゆっくりまばたきをして……彼に向けて口を開いた。

「ごめん、今日はこのまま打ち合わせするからさ、今日は帰って貰ってもいいかな」

「……打ち合わせ? 何のだい?」

「……」

あきは黙ってしまった。
それはそうだ。彼女はバスケにはなんの関わりもないし、私がやっている事だってそんなに詳しくは知らない。
咄嗟に話を合わせられるだけの材料がない。

……ごめん、あき!

「あの、来週土曜に大阪に行くので、その打ち合わせです!」

「……大阪? あきも入れて、ですか?」

「そうです、3人で、です!」

「旅行、という事でしょうか?」

この3人で旅行なんて、おかしな話すぎる。
何か、あきに手伝って貰えるような仕事はあっただろうか。

ああ、嘘って本当に苦手だ。

「いや違うよ、みわ達は仕事。あたしはひとり旅」

サラッと、あきがそう言った。
まるで、決まっていたかのような、自然さ。

「……ひとりで旅行? 言ってくれれば、都合つけたのに」

「いや、最初は大学の友達とって話してたんだけど、急遽法事が入ったって、行けなくなっちゃって。ギリギリだったから、今更言うのもなって思ったんだ」

「……そう」

「ごめんね、折角来てくれたのに」

「いや、いいよ。いきなり来たのはこっちだ。また連絡する」

彼は怒るでもなく理由を聞くでもなく、そうとだけ言って出て行ってしまった。

慌てて追いかけ、玄関の扉が閉まるのを確認してから鍵をかけた。











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