第79章 邂逅
ダイニングには、マクセさん、あき、あきの彼、そして私。
なんとも言えないメンバー……。
「みわさんの……彼氏さんですか?」
にっこりと微笑んだ彼の口からは驚きの言葉。
……ううん、こんな深夜に突然来るんだから、そう思われても仕方ない。
前に会った彼とは別れたんだろうな……そんな風に考えてる筈だ。
「あの、違うんです。高校時代からお世話になっている方で」
「そうなんですか。ではお邪魔しては申し訳ないですね。あき、部屋に戻ろうか」
また、この威圧感。
丁寧な言葉なのに、有無を言わせぬような圧力。
「あ、あの、あきもなんです、お世話になっていたのは。ね、あき!」
苦しいかな。苦しいかな。でも、同じ高校だったし、変じゃないよね。
あきとマクセさんは、"そうだったっけ?"とでも言ってしまいそうな顔を一瞬浮かべて……
「あーうん、まあ、そんなとこ」
「なんだかんだと、もう付き合いも長くなってきたな」
マクセさんは、多分私との付き合いの事を言っているんだろうけれど、話を合わせてくれているような様子、凄く助かる……。
とにかく今は、ふたりきりにさせちゃダメ。
そして、出来れば帰って貰いたい。
「今日は何故こんな時間に?」
あきの彼だって、こんな時間に突然来たんだけど……マクセさんを諭すような、窘めるような口調だ。
「ああ、神崎に資料を頼まれまして」
「申し訳ありません、遅い時間に。助かります」
「いやいいよ、通り道だ」
「では、もう帰られるんですね」
シン、と一瞬で静寂が訪れる。
彼が、マクセさんを追い返そうとしているのは明白。
あきとふたりきりになるのを、諦めてない。
「……ちょっと来週の事で、打ち合わせしておきたい事があるんだが、神崎達は今時間は難しそうか?」
神崎"達"と確かに言った。
マクセさんはやはりなんとなく、気付いてくれてる。