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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


女の子らしく、コスメとか雑貨とか……沢山の物が置かれているあきの部屋。
サバサバしている性格に似合わず、とあきは言っていたけど、そんな事ないと思う。
あきはとっても繊細で、優しいひとだから。

ドアの向こう側……ベッドの上には、上着を脱いでワイシャツ姿になった彼と、ベッドの下には……上半身裸のあき。

「……!」

あきが驚きの表情を浮かべた事で、彼は私が来た事に気が付いたらしく、振り返りもせずにあきに手を伸ばした。

「あきはおっちょこちょいだね。ほら、おいで」

……何かの拍子に、誤って落ちた様子を装っている……ようにしか見えない。

あきは、ちらりとこちらを窺うと彼の手を取った。
そのまま、彼の胸の中に閉じ込められてしまう。
こちらからは、彼の背中しか見えない。

でも、見間違いじゃない筈。
今、あきの身体中にあった、無数の痣。

「あ、あの」

「すみませんみわさん、今いいところなので……分かりますよね?」

柔らかい声色。
それなのに感じる威圧感。

「みわさんのレポートに影響がないよう、すぐに済ませますから……ね?」

……分かった。
あきの今までの態度。
相談しようとしてくれて、でもやっぱりまだ言えない、と言っていたあの時の表情。
無意識に、身体を守るような仕草。

彼に、暴力を振るわれてたんだ。

カッと頭が熱くなる。
目の前が赤く染まっていくような感覚。

……でも、感情で動いちゃダメだ。
彼の方がきっと何枚も上手の筈。
どうしたらいい? どうしたらいい?


だめ。
パッと対策が浮かばない。

とにかく今は、このままふたりきりにしちゃダメ、それだけはハッキリしている。

でも、どうしたら。

八方塞がりになっている私の耳に、インターフォンの軽快な電子音が届いた。




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