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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「神崎さん!」

次の週、ゼミの講義が終わり教室から出ようとした私に、タケさんから声が掛けられた。

「これから飯食べに行かない?」

それは、あまりに突然のお誘いで。
そもそも彼とは本当に殆ど話す機会がない。

挨拶……くらいかな?
この誘い方だと、ふたりでという事?

えっと……どうしたらいいんだろう。

「いい店知ってるんだ。他の奴らは都合合わなくてさ。ちょっと遠いけど車出すし、行こうよ」

……なんとなく、嫌な感じ、かも。

涼太と一緒に過ごす車内空間を思い出す。
ほぼ接点がない男のひとと、あんな密室でふたりきり……無理だ。
そもそも、男性が近くに居る事自体、気持ちが落ち着かないのに。

そんな風には思いたくないけど……自意識過剰かもしれないけれど……

「すみません、今日は予定があって」

こういうお誘いの断り方が分からない。
これだと、今回だけのお断りだよね。
このお誘い自体が困りますっていう事をやんわり、失礼がないようにしたいんだけど……

「……ふーん、そっか、じゃあまた今度ね!」

タケさんは、あっさりとそう言い、去って行ってしまった。
気に、しすぎだったかな……?

あきにいい断り方、相談してみよう。





「ハァーーーー!? そんなのね、ふざけんじゃねー、誰が行くかこのボケってハッキリ言ってやりゃいいんだよ!」

夕食の席で、あきに物凄く怒られた。
これ以上ないくらいに怒られた、というかタケさんの事を怒ってる。

「で、でもほら、本当に純粋に誘ってくれただけかもしれないし」

「でも実際あんたはなんか嫌な感じがしたんでしょ?」

「うう、うん、でもなんとなくだよ!」

「女の勘は疑っちゃダメ。あんたの直感通り、その男とは関わらない方がいいよ」

……あきの言葉って、なんでこんなに説得力があるんだろう。

「あきみたいに、ちゃんと判断出来てちゃんと断れる人間になりたいな」

「……あたしだって、上手く言えない時はあるけどね」

あきは左肩をさすりながら、自嘲めいた口調でそう零した。

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