第79章 邂逅
「んー、あんた……まぁ、間違っちゃいないんだけど、ちょっとまずいんじゃないの」
帰宅後、お茶を淹れてくれたあきと、今日あった事をお話して。
あきは、整った眉を顰めてそう言った。
「……やっぱり、そうだよね。私も、嫌な言い方しちゃったかもと思ったんだけど……」
「そういう時にさ、頭ごなしに言ったって反感買うだけじゃん、なんか嫌がらせとかされても面倒だし、やめときなよ」
咄嗟に、否定する言葉しか出せなかった。
でもやっぱり、流される事はしたくなくて……。
「……ま、あんたの性格はよっく知ってるからさ、言っちゃうのは分かるけど。
世の中には、自分のせいだっつーのに人のせいにしてばっかりの人間、結構いんのよ」
「そう、なんだ……」
「自分が言ってる事には無頓着で、言われた事ばっかりに過敏に反応するヤツ。そういうのは何言っても無駄だから、放っといた方がいいよ」
そうか……そういうひとも、いるんだ。
どうしてなんだろう。
なんで、そういう風な考え方になってしまうんだろう。
「……あんた、今そういう人間に寄り添おうとしてない?」
「え?」
「理解しようっていうのはあんたらしくていいんだけどさ、ホントにタチ悪いヤツらに巻き込まれて欲しくないから、深入りはやめてよね」
「あ……うん」
なんでもかんでも首を突っ込もうとするのは悪い癖だ。
そんな容量も余裕もないくせに。
でも、関係ないからハイさよならと割り切れるほど、器用でもなくて。
今回の事をきっかけに、もっとちゃんと考えるようにしよう。
「つかさ、その男ムカつくんだけど。要は、教授が来るってウソついてみわを誘ったわけでしょ?」
「ううん、嘘ついたとは限らないよ。もしかしたら、教授はお忙しいから突然来れなくなっちゃったのかもしれないし……」
「それならそれで言うはずじゃん。なんか凄いヤな感じ。連れて来てくんない? シメるから」
あきの目が本気に見えて、慌ててフォローした。
心配してくれるのは、本当に嬉しい。
授業外ではバイトや大阪での活動が殆どだし、ああいう集まりにはなかなか行かないかもしれないな。